第21回:「災害と歴史」

第21回:「災害と歴史」

 東北大震災以来3年が過ぎようとしていますが、人間社会の歩みは自然災害と共にあります。人々は災害をどのように受けとめ、どのように対処して来たかについて東北大学災害科学国際研究所の平川新所長をお招きし、お話を伺いました。東北地方では西暦869年(貞観11年)にM8.3~8.4の貞観地震、1611年(慶長16年)にM8.1の慶長地震、そして2011年(平成23年)にはM9.0東北大震災が起きました。何れも巨大な津波が発生している点で共通し、正に歴史が繰り返されることを目のあたりにしました。しかしそのとど、人々はたくましく復興をなし遂げて行く姿も当時の記録からわかりました。むしろ田畑の開墾は災害を契機に盛んになったとのことです。また歴史に学ぶためには記録資料の保存が大切であり、東北大震災で被害のあった古文書の救出、修復、復元への取り組みについてもお話しがありました。そして東北大学では2001年に箕浦幸治教授が、貞観津波から1100年が経過して仙台湾沖に巨大津波が発生することを懸念された記事を広報誌「まなびのもり」に寄せられていたとのことで、僅か10年前の警告が全く活かされなかったことを誠に残念に思いました。

  ☆なおこの講演については、「仙台経済界 2014.1-2月号」のフォト&トピック欄(128頁)に”科学技術を用い、先人の知恵を生かす”との表題で記事が掲載されました。