要旨:仙台市天文台は1955年に西公園に開館しましたが、2008年に青葉区錦が丘に移転し、新しい市民天文台が整備されました。新しい天文台はPFI方式で民営化され、10年が経ちました。新しい天文台の概要、民営化に伴う秘話、この10年間の活動などをご紹介します。合わせて、火星大接近など、今年の天文現象を簡単に紹介します。
1955年、市民からの寄付により西公園に建てられた天文台でしたが観測環境の悪化と地下鉄東西線の開通に伴って10Km西の蕃山丘陵の静かな高台に移されました。公共サービスの提供を民間主導で行う方法として嘗てイギリスのサッチャー政権で導入されたPFI方式(Private Finance Initiative)が日本で始めて天文台に適用された例になりました。
運営には厳格なルールや制約があるようなお話しでしたがご苦労の末、10年間で見事に市民が誇れる親しみ易い市民天文台に生まれ変わりました。施設内には口径1.3mのひとみ望遠鏡、直径25mの水平型ドームと270席を備えたプラネタリウム、展示場、大ホールの他、太陽系の大きさを実感出来る惑星広場が屋外にあります。
また休憩スペースとして食事も出来るプラネットカフェ、望遠鏡や星座早見盤などを置いたミュージアムショップもあります。このショップではネットでも有名になったコズミックキャンデイ、宇宙食たこ焼きなどのオリジナルグッズが並ぶような、そこかしこでアイデア一杯の楽しい天文台であることが良くわかりました。この7月31日には15年ぶりの火星大接近でひと際、市民で賑わうことでしょう。