第64回:「断層集団のフラクタル」

開催日時:令和6年6月26日(水)18:30~
講演者:大槻憲四郎                   東北大学名誉教授

“フラクタル”は“フラクチャー”(破壊/割目)に由来し,断層や断層集団はフラクタル幾何の宝庫とのことです。確かに断層があちこちに走っている様子を地図で見てと縮尺が大きくても小さくても、尺度に関係なく同じようなパターンに感じることに気づきます。このようにスケールを小さくして行っても全体の形の縮小版が幾重にも入れ子になって続くのがフラクタルな図形やパターンの特徴になるとのことです。実際の地層で詳しく調べたところ、この特徴は岩石に加わる力が強いほど、岩石が脆く砕け易いほど顕著になり、限界を超えたところでフラクタル領域に入ることが示されたそうです。自然界には雷の飛跡、雪の結晶、シダなどの木の葉の枝ぶり、血管や神経の回路網など、実に多くの例でフラクタルなパターンが認められるようです。