第66回:「筋力低下が社会に与えるインパクト」—筋力低下を防ぎQOL向上のためには—」

開催日時:令和6年12月10日(火)17:00~
講演者:樋口秀男 氏 東北大学未来科学技術共同研究センター
特任教授

高齢化社会が進み、体力や筋力の衰えが気になる人も増えてきました。筋力の低下とその対処法について、筋肉の構造や動く仕組みの基礎的研究を長年続けて来られたお立場からお話を伺いました。筋肉とはどのようなものでなぜ老化するのかに言及された後、対処法として先ずは自分の状態をチェックした上で日常の運動や習慣を見直して生活の質(QOL)を向上させるのが良いとの説明がありました。医学的に運動機能の低下はロコモーティブ(運動器)症候群に属し、症状はロコモ度から判断できるとのことです。具体例として40cmの高さの椅子に座った姿勢から、片足で立ち上がれない状態がロコモ度1(20cmの高さからでは両足で立ち上がれないと2)に相当し、75歳で50%(ロコモ度2は80歳で15%)の人に見られる事態だそうです。最近では運動や仕事を手助けする補助器具が発達し、動力を備えた装着具も出回り始めたとのことで機器の紹介もありました。また病的な筋量・筋力の減少はサルコペニア(sarco:筋肉、penia;喪失)と呼ばれその対処として、東北大学未来科学技術共同研究センターではサルコペニアプロジェクトを主導して居られるとのことです。