去る11月13日の米国オバマ大統領の来日にあわせた情報交流として、ウィリアム・ L・ブルックスさんによる「現代米国社会の変化、American society in transition 」と題する講演が開かれました。
米国大使館広報文化交流部でメディア分析を長年続けて来られたウィリアム・L・ブルックス(Dr. William L. Brooks)さんをお招きしました。
ウィリアム・L・ブルックス(William L. Brooks)さんはオバマ大統領を大変高く評価され、ヨーロッパのプラハ、イスラム諸国でのカイロに続いてアジアの中の東京で行われた一連の演説の意義を新しい時代への動き(New Beginning)の内に捉えておられます。日本については鳩山政権の分析など、米国から見た姿との違いも新鮮に感じ取ることが出来ました。
コロンビア大学ご出身で、日本文学研究者として2008年に文化勲章を受章されたロナルド・キーン教授の下で「近代以前の日本の少数民族史研究」を纏めて博士号を取得されました。中国語が堪能とのことでしたが日本語も流暢で、確か奥様も日本の方とお聴きしました。大変気さくで、「私の名前は小川(Brook)です」、などと仰ってました。
ブルックスさんはこれまでに在日米国大使館広報文化交流部のメディア分析・翻訳課課長を15年程勤められ、米国政府にとって政策面で重要な問題に関する日本のメディア報道についての情報提供を、歴代大使や大使館幹部、さらにワシントンに対して随時行なってこられました。また、日本のメディアの傾向を常に把握し、これらの問題が米国の国益に及ぼし得る影響を分析されたり、同大使館経済部では、日本の貿易・対外援助政策や投資問題などを担当されました。また日米交渉の支援として、貿易政策面での助言や分析を進められました。国務省本省では、情報調査局の日本問題担当上級調査官として、国務長官など、米国政府当局者へ、日本の政策に関する分析を報告されています。
米国大使館のメディア分析・翻訳担当部門では統括責任者として、日本の主要新聞各紙の記事や公式文書などの翻訳に携わる11名からなるプロ集団を率いて鋭い分析・情報伝達を展開され、実践面ではさらに、日本国内発行の各種雑誌記事を要約し、掘り下げた視点から切り込んだ評論誌(隔週発行)の編集・発行に携わっておられます。また、日本のメディアの動向に目を配り、その傾向の背景説明(ブリーフィング)を毎週、駐日米国大使及び在日米軍司令官や大使館幹部に対し、口頭や文章で行っています。
広報外交の現場での実績としては、これまで日本全国各地を訪れてスピーチや大学での講演を行う傍ら、会議や座談会などにも参加され、テーマは日米関係、米国の国内政治・社会、メディアの傾向、と多岐に及んでいます。国務省有数の日本問題専門家であり、諸外国語に通じた同省人材のトップのおひとりとして、同僚からの高い評価を得ています。
国務省入りする前は、米国ニュージャージー州にあるウィリアム・パターソン大学の助教授(歴史学)として、日本、インド、世界文明、歴史的研究方法論(修史論)の各講座を受け持たれました。その後、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)で客員講師(日本現代史)も歴任され、日本の対外援助、公共事業政策、流通・ マーケティング制度、北東アジアの多国間主義、日本の対中国経済援助などに関する主要各紙記事の報告の他、政策面の重要な問題に関する報告も、長年にわたって、米国政府に絶え間なく行っています。